3-1 ・塗膜が生まれるまで
薄膜ながら万能選手である塗膜を作り出す塗装は、ソル(流動体叫塗料・塗液)からゲル(固体・塗膜)への移行プロセスであり、乾燥、硬化の過程を経て達成されます。この「塗って乾かす」という流れのJ1本は変わりませんが、この塗膜が生まれるメカニズムは複雑な形態であり、ここに総合科学の集積が生きています。 塗膜の性質を左右する因子としては、原材料の種類・配合比・塗装方法・硬化条件などが挙げられますが、塗膜の構成成分としての働きを把握することが基本といえます。 塗膜の状態は、鎖状結合と架橋結合(網目)に分類され、この塗膜形成機構は、塗料技術の重要な課題に属し、実用塗料でしばしば問題になる塗料の乾燥性・可使時間・貯蔵安定性あるいは一般塗膜の諸性質と雀接な関係にあります(図3-1)。 一般的に、ゲルとは流動性を失った分散系溶液で、分散質同士の分子間力で構造を形成するために分散系全体が異常な粘性を示し流動性を失
います。分散質問の結合は弱く、かつ一時的なものなので温度変化や応力などにより、容易にソル状態に変わり流動性を復元します。分散媒が水のものをヒドロゲル、分散媒が有機溶媒のものをオルガノゲル特に水分を失って空隙を多く含むものをキセロゲルと呼びます。 塗膜の形成機構の分類として、ソル~ゲル移行過程における塗膜形成iモ要素の分子量の変化に着目した場合は、二通りのタイプとなります(図3-2)。 ソルからゲルヘの移行を利用した高分子工業は、ポリマーを基本とし